【令和5年4月】お便り

【令和5年4月】お便り

お便り

笑う、滴る、粧う、眠る

間部に住んでいると不便なことも多いですが、
四季折々の景色の美しさに目を奪われる
ことも多いですね。周りを山々に囲まれて
いるのが当たり前で、普段は気に留める機会も
あまりありませんが、ふとした時に
山の色合いの変化で季節の移り変わりに
気付くと思わず足を止めて見入ってしまいます。

きなみ(軒並み)同じように見える山々でもそれぞれの
違いがあるものですが、同じ山であっても季節によってがらりと
印象が変わります。
表題はどれも山の季語ですが、それぞれ
 山笑う(わらう)=春に一斉に草木が芽吹き、明るい印象になる様子
 山滴る(したたる)=夏の新緑に覆われ、山が濡れているような様子
 山粧う(よそおう)=秋に色づいた山がお化粧をしているような様子
 山眠る(ねむる)=冬の静まり返った山が眠っているような様子
を表しているそうです。 「粧う」などは知らないと読めませんね。
 日本は国土の70%以上が山地と言われていますが、
慣れ親しんだ山の美しさを表すために美しい表現が
生まれたんだなあと感心してしまいます。
 高遠の山々は他と比べて少し眠りが長く、そのぶん笑う時間が
短くなっているような気もしますが、桜が散っても
もう少し山の笑顔は続きます。過ごしやすくなんとなく
気持ちの良い季節、皆様も穏やかな笑顔で過ごせますように。

情景を表す季語。