【令和3年10月】お便り

【令和3年10月】お便り

お便り

てん

けいてき(典型的)な怠け者への戒めとして
「食べてすぐ寝ると牛になる」
という言葉がありますが、
題にも挙げているように秋の場合は
肥えるのは馬となっています。
ふと「なんで馬なんだろう」と思い
調べてみたのですが、もともとの言葉は
現在のようにのんびりした雰囲気では
なかったようです。

名な昔の中国の詩人・杜審言(としんげん)が書いたとされる
「雲浄くして妖星落ち 秋高くして塞馬肥ゆ」という詩が
もととなっているそうですが、
こちらは秋になると春から夏にかけて草を食べ
たくましく育った馬に乗って敵国が攻めてくるから気をつけなさい
という警戒を促す意味として使われたそうです。
馬の体格が良くなっていったのは春から夏だった
というのも驚きですが、その理由も隣国の秋の収穫を狙った
計画的なもののようだと想像するとなかなか恐ろしいですね。

るしい時代を超え、襲撃の恐れがなくなったことから
現在のような澄み切った秋の空気の爽やかさや
収穫の時期の食べ物の美味しさを
喜ぶような意味に代わってきたそうですが、
そんな風に人々の営みの移り変わりにあわせて
言葉の意味も変わってきたと思うと感慨深いものがあります。
世の中の争いが無くなったわけではありませんが、
僕にとっても平和に暮らせることに感謝しつつ、
秋の味覚と共に忍び寄る体重増加の襲撃に
警戒を怠れない日々がしばらく続きそうです。